両忘

東京32時間滞在記(その1)

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先週の金曜日から土曜日にかけて東京に行ってきました。
10年ぶりでした。

上京の目的は、12月に代官山ヒルサイドフォーラムで開かれる若手作家のグループ展に参加する事になり、会場の下見と打ち合わせ。あと、芸能山城組のフリーコンサート、新宿ケチャ祭りを見物する事。ほとんど遊びみたいな目的で東京に行くんだけど、緊張してました。 絵描きとして活動を始めて最初の東京行きだったからかな....と思います。

まず、長崎からの移動は当然ながら飛行機。
東京に行くのも10年ぶりなら飛行機に搭乗するのも10年ぶりで、正直怖かった。機材が古いのかシートピッチがかなり狭く(高速バスよりも狭い)、それだけで閉所恐怖症である。滑走路を暴走しはじめたときには「止まれ!浮いてしまうやんか!」と叫び出したくなる。もちろん無情にも浮き上がってしまい、あとはあらぬ想像をしまくって疲れた。ほんとは陸路がいいんだけど、新幹線に乗っても7時間、運賃も高い。飛行機に慣れるしかないですね。

羽田には無事に到着。ホテルに荷物を預けてから渋谷へ。グループ展の主宰者、Kさんとハチ公前で待ち合わせ。近くの珈琲屋に入って情報交換をする。作品も展示もほぼ白紙なので、こっちから話す事はあまりなくて、Kさんのプロフィールや、プロジェクトの立ち上げから今後の目標、グループ展の進み具合などについて説明を受ける。作家として少しでも自立していくためには、やはり東京での活動は不可欠になる。Kさんとの出会いはその第一歩となった。とにかく12月まで、制作に集中だ。

Kさんと別れてから、増田智己さんと合流。初対面、東京に出たからにはまず会っておきたいひと。感激しつつ、ぽつりぽつり言葉を交わしつつ、代官山方面へてくてく歩く。ミンミンゼミがにぎやかに鳴いているのを聴くと、ここが東国であることをしみじみ感じる。九州だとクマゼミですから....。サウンドスケープが違うのです。

最初の目的地、ミームマシンギャラリーに到着。早川モトヒロさんと、お仲間のグループ展「Parallel World '09」を見る。明るくてポップで、とにかくパラダイスな気分になる。早川さんの作品はポップそのもの。キャラは恐いけど楽しい。竹原由記さんの作品は、短時間で描いたのか長い時間をかけているのかわからないが、とにかくいい。いい絵を見て、自分もいい絵を描きたいと思う、そういう気持ちにさせてくれた展覧会。ギャラリーの居心地自体もよくて、ポスカやTシャツなどのセンスもいい。「東京すごいね....」と少し落ち込むと、増田さんが「志久さんもいいですよ〜」とぽつり。....立ち直る(←単細胞)。

さらに山登りをつづけて、ヒルサイドフォーラムに到着。
まずカフェにはいって、増田さんと話し込む。

増田さんとぼくは、絵を描きはじめた時期はほぼ同じだと思うんだけど、企画ギャラリーでの個展やグループ展をすでに経験していて、「絵描きマインド」みたいなものがしっかりしてるなあ、との印象を持った。いろいろ話をしたんだけど、どうしてもっと積極的に絵を売ろうとしないのか、というメッセージをもらったと思う。絵を売るチャンネルのこととか、気持ちの持ち方とか、もっとどん欲になっていいんだろうな。あと、増田さんは作品を持ってきてくださっていてうれしくなる。体調が思わしくないのに会いにきていただき、ありがとうございました。

その後、ギャラリーの下見。

増田さんとは新宿駅で別れて、ケチャ祭りへと向かう。南口を出て、なんとなくアルタが見たくなって東口に移動したのが失敗で、西武新宿駅手前のガード下を迂回するハメに。コクーンタワーに見とれているうちに方向感覚を完全に喪失....♪。焦りまくり。旧友EI坊と、お会いする予定のMさんに携帯で泣きつき、誘導してもらいかろうじて55広場にたどり着く。

新宿ケチャ祭りは、楽しかったです〜。

午後は蒸し暑い東京でしたが、陽が落ちると涼しい風が超高層ビルの谷間を吹き抜ける。曇り空でじめじめした感じではあるけれど、こういうのもモンスーンっぽくていい。広場にはヒンズー寺院風の舞台が仮設されていて、バリの一部が東京にタイムスリップしたようにすらみえる。EI坊はバリのビールを飲みながら、ぼくは珈琲を啜りながら、2時間のパフォーマンスを楽しみました。

ガムランの合奏と舞踏(レゴン・ダンス)は、20代の頃、九州のコンサートホールで見て以来だった。その時の、正面から音圧に撃たれるような感じではなく、今回は(野外のせいか)まろやかで響きに包み込まれるような印象だった。肚の奥までガムランの心地よい振動で揺られ、細胞と細胞のつながりがリセットされていくような感じ。

レゴン・ダンスは、知識に乏しいのでよくわからないが美しい姉妹の愛憎劇になっていて、物語の後半では嫉妬に狂った姉か妹かが化け物となり「物狂い」を始める。まさに圧巻。見いっていると、突然背後からバシッ!と電球が破裂するようなラップ音がした。すわ、超常現象かあ?!とおどろいたが、振り返るとこなごなに砕けたビール瓶。後ろに坐っていたお客さんが落として割ったんだけど、一瞬、まじで『アキラ』の再現かと思いました。

その後、ケチャが始まる。

半裸の男たちが両手を上げ、激しく揺り動かしながら登場。ここで感動したのは、男たちの深い深呼吸の合唱である。す〜っ、ふ〜っ、という呼吸音が波のように打ち寄せてきて、これには参った。なんという始源の響き....。意識が飛び、細胞分裂が停止する。母親の胎内で受精卵が聴いている音楽。というと大袈裟かもしれないが、ほんとにそんなイメージだ。その後、おなじみの強烈な16ビートの大合唱がえんえんと続く。すばらしいアンサンブルだったが、正直、偉大なデヴィッド・リュイストンのレコードで聴いたような衝撃はない。音量もそこそこで、ビールを飲みながらヒンズーの神話世界を楽しめればいいという感じだろうか。劇中に神話のナレーションが流れるんだけど、すべて日本語。独特の抑揚で、デヴィット・ボウイの古い歌(シルエットや影が革命を見ている〜♪....もう天国への自由の階段は無い〜♪....知っているひと、いるかな?)を思い出した....笑。

バリというのは神の国なんだな。と、深く思う。

バリ島の芸能は、神社の奉納神楽のように、ヒンズーの神々の物語を再現しているわけなんだけど、とにかく信仰心が篤く、年中お祭りをしているようだ。暦の中に神話の物語、時間が刷り込まれていて、日々の生活を生きながら、神の世界を同時に生きているんだと思う。なんという広い世界観だろう。中沢新一の芸術人類学とともに、バリの芸能、アボリジニや縄文の文化にはとても興味がある。芸能山城組のパフォーマンスはその理想的な具現化だと思うので、今後も追いかけたいなあと思う。来年もケチャ祭り、行きたいな!

(2日目につづく)



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あと、ケチャ祭りでお会い出来た方々について。
まずmixiつながりでいちばん古い知人の1人、Mさん。お仕事中抜け出してわざわざ会いに来てくださいましたけど、若い頃の吉田美奈子みたいで素敵な方でした。それと、最近マイミクになったSさん。幸運にもお会いする事ができて、ケチャが終わった後、EI坊と3人で食事に(オヤジトークにも)つきあっていただきました。申し訳ないす....。EI坊と会うのはたぶん15年ぶりで、それにしてもぜんぜん変わってないのでおどろく。友人というのは神の恵みです....笑。そんな思いでホテルに戻りました。
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by ksksk312 | 2009-08-08 15:32 | 読書美術音楽、etc