両忘

個展、始まる。

先週の木曜日から、IAFでの個展が始まりました。

今回も2年前と同様、火曜日の夕方にIAFに入り、ほぼ48時間、じっくりと展示作業に没頭。あらかじめ考えていた展示イメージはあるけれど、作業を始める取っ掛かりにしかならなくて、そこから試行錯誤を繰り返してアイデアを出していく。そういう流れで作業を進めていきました。

実際の展示ですが、まずホワイトキューブのギャラリーには、米袋を広げて描いた大きいサイズの作品を5点、比較的小さいサイズの作品を10点、合計15点を展示。米袋の作品はほぼ正方形で、予想はしていたけれど、どこにレイアウトしてもなかなか安定せず、何度も何度もやり直し。火曜日の深夜に(ほとんど偶然に)ひとつの壁面が決まり、ここを起点にして時計回りでレイアウトを決めていきました。ひとつの壁面が決まれば、(不思議なことに)試行錯誤するうちに自然にまとまっていきます。最終的には、自分の作品と同時に、持ち込んだレイディメイドの印刷物や標本、フィギュアなどを要所要所に配置して、詩的な雰囲気のある空間が出来たかな、とは思います。自分の作品をお客さんに「見てもらう」というより、作品がお客さんを「見る」、「囲い込む」....そういうベクトルが作れたのではないか。あらかじめ考えていたコンセプトではなくて、現場で試行錯誤するうちに生まれてきたものなんだけど、そのあたりは前回の展示とはまったく異なるものが出来たし、自分なりには満足しています。

この空間でひとつ、特にご紹介したのが、米袋に描いた作品にがらくたのヘッドフォン、地球儀を組み合わせた作品です。地球儀の中には携帯音楽プレーヤーが入れてあって、ヘッドフォンからノイズが静かに流れています。ヘッドフォンを耳にあてて聴いていただくと、ものすごい轟音。以前からサウンドアートには興味があって、出来ることからすこしずつ....と思っていたのですが、今回知人の音楽家から音源提供を受けて、実現することができました。自分の作品から音を流すことは夢ではあったので、とてもうれしいです!

音楽の提供は、ノサカケイイチさんという方です。
マイスペースで自作を公開しておられるので、是非。

カフェスペースには、やはり米袋に描いた作品を2点、段ボールに描いた小品が1点、あと、B4のコピー用紙に描いたドローイングを30点、それとヒルサイドのグループ展で制作したコラージュ本、その他お気に入りの印刷物やレコードなどを(僅かですが)並べています。カフェスペースのほうは、おおむね計画通りのレイアウトが出来たのだけど、ひとつ不安だったのはコピー用紙に描いたドローイングが事前にあまり描けてなかったこと。自宅でもうまくいかず、IAFに持ち込めたのは9点だけ。どうしても30点はほしかったので、展示作業の合間をぬって(画材を自宅に忘れてきたり....ちいさなトラブルに見舞われつつ)ちまちまと描きあげ、なんとか間に合わせる。30枚に過ぎないけど、ドローイングを壁面にならべると高さ2メートル、横幅も1メートル半くらいの連作になり、自分としてはまあ、いい感じになったのではないかと思う。このドローイングのシリーズは、これからも続けていくつもりです。

前回個展の展示作業でも痛感したのだけれど、やはり今回も、展示は自律したひとつの作品であるというのを強く実感。展示作業にはタイムリミットがあるので大変ですが、達成感は格別です。結局、展示したのは持ち込んだ作品の半分以下で、残りはギャラリー隅の梱包材の中で眠っているのだけど、そのストックだけで「もうひとつの個展」が出来るんだと思う。アイデアを現場で出していくというやり方がいいのかどうかはわからないけど、それが自分にいちばん向いたやり方ではあるし、これからも続けていきたいと思う。


「私」は自らに見えない暗転である。(吉田一穂「非在」)

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by ksksk312 | 2010-05-14 19:54 | お知らせ、個展など