両忘

モモ。

木曜日、作品搬入の日。大荷物を抱え、わが家を出発。
ナナの顔をちらりと見たいが、ひいひい鳴かれると近所迷惑なので我慢。

ブーツの靴ひもを結んでいると、上がりかまちから母の容赦ないダメ出し。
「また無印の手提げ袋? 破れんね? ビニール袋にしなさい」
「着いたらタクシー? (路面)電車にしなさい、もったいなか」
適当に返事をして玄関を出る。

長崎駅に到着、軽食をとって路面電車で館内町へ。
新地の中華街を歩いていると、自分が日本人に見えなくなっているのに気がつく。 頭にニットキャップ、背中には30リットルのザック、両手には(和紙の束がはみ出している)手提げ袋。 まるで、福建省から親戚をたよって出てきた出稼ぎ青年...。ふふふ。気合いがはいるぜ、ハオ。

展示作業は2時間半くらいで終了した。

会場には何度も足を運んでいたので、何処になにを配置するかはおおむね決めてある。 正面の壁の展示だけが白紙状態だったが、とにかく1枚貼り付けてそこから次の作品を選択し、レイアウトも決めていくことに。 作業はユズルさんとも相談しながら、サクサク進行し、晦渋することなく終了。昨日からの腰痛はなんだったのだ...。 その後も、壁の展示に違和感はまったく感じないし、現場で湧いたアイデアに優るものはないんだと納得。フリージャズみたいである。

4畳半のちいさな会場に座り込み、自分の作品に囲まれてみた。

入り口から向かって左手、白い額におさめられた「モモ」と名付けた(ことのある)抽象画から、目が放せない。 展示の予定はまったくなかったのだけど、試しに額に入れたとたんに強い訴求力を感じ、そのまま展示することにした作品...。 いったい何だろうな、この力は...。スケッチブックにはいっている段階では、色褪せて魅力がないように感じていたのに。

絵が展示されて喜んでいる、嘘みたいだけどそんな感じ。
エアダクトから新鮮な空気が吹き出してくるように、エネルギーが絵からあふれ出すのが見える(と比喩的に言わしてもらう)。 ようするにこいつは、人の目に触れるチャンスが来てうれしくて仕方がないのだろう。「モモ」は歌っている。 絵としての使命を全うできることを喜びを、腹の底から声を出して歌っているのだ。

個展というのは、作家のためにあるのではない。作品のためにあるのだ。 ぼくはこいつらを多くのひとに見てもらうために、出来るかぎりのことをしなければならない。 それが作家が個展でやるべきことに違いない。去年の個展では気づきもしないことだったが、いまはそう思えて仕方がない。

翌日。個展の初日。
午前中、市内の画材店や美術館をまわる。

前回置かせていただいた場所をのぞいてみると、やはりDMは残り少なくなっていて(県美術館には5枚しか残っていなかった)、補充補充。 さらに前回は回れなかったお店や、美術館(野口弥太郎美術館、ピースミュージアム)にも足をのばし、 DMを置かせていただく(...ありがとうございました)。500枚印刷したDMが、手元にはもう50枚しか残っていない。

お陰様で、個展は順調な滑り出しを見せている。
館主のヤマサキユズルさん、来ていただいた方々、感謝です。

自分が作品のために出来ることがまだあるに違いない。。
たくさんの皆さんに来ていただけるよう、がんばるぞ。
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by ksksk312 | 2007-01-24 23:47 | お知らせ、個展など