両忘

弥生のモダニズム、青谷上寺地。

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先史時代のゲージュツといえば、縄文しかないと思っていた。
有名な火焔土器(新潟の津南の博物館で見た)、奇抜な顔をした土偶。それにくらべると弥生はイモ....。義務教育でもそう教えられてきたと思う。

ところが。日曜日、NHKのETV特集で鳥取県の青谷上寺地(あおやかみじち)遺跡のことを知り、自分の常識が木っ端みじんに吹き飛んだ。みなさま、ご覧になりましたか。

青谷上寺地遺跡は、弥生時代の大規模な集落遺跡....。出土品は三内丸山遺跡クラスのもので、弥生の"タイムカプセル"ともいわれているらしい。テレビで見ておどろいたんだけど、とにかく木器、木工品がすごい。斬新なデザインばかりで、仰天した。技術的も相当高度なものらしく、専門家でもどうやって作ったのかよくわからないらしい。そんな弥生の木器の完全な復元を、NHKは3人の人間国宝(木工の人間国宝は4人しかいないらしい)に依頼して、製作過程をカメラに収めている。

まったく、感動的な番組だった。

人間国宝の方々は、遺物を手に取っただけで、弥生の木工職人がどれだけ強者だったかを見抜いていく。「木がいい」。「よく選んでいる」。材料や加工法を吟味していくうちに、3人の顔つきがどんどん変わっていく。遺物の中に、弥生の職人魂が残っているのだ。数千年の時を超えても、いいものを作りたいという想いは同じで、その道を極めた方にそれは確実に伝わるのである。

実際の制作にはいると、これがほんとに真剣勝負なんだな....。一流の工芸家がものすごい集中力で作品と格闘する姿がカメラにとらえられている。復元された工具を思うように使えず、まるで絶壁にはりついて喘ぐような顔つきで悪戦苦闘する場面もある。弥生の木器がそれほどのものだということ、弥生時代に、現代の人間国宝クラスの職人がいたという事が、びんびんに伝わってくる。

完成した復元品は、ほんとに見事なものでした。

縄文のようなエネルギッシュな生命力はないが、繊細極まりない曲線、極限まで薄くした平面、スタイリッシュで上品なのだ。まるで北欧家具のようにもみえる。弥生のモダニズムというのは単なるこじつけに過ぎないが、デザインには機能美というか、形態の美しさ追求しているところは(あきらかに)ある。個人的には丹下健三の初期の建築を彷彿とさせる、和と合理性の融合みたいな匂いを感じたりもした。

青谷上寺地遺跡の発掘はまだ終わっていないという。
弥生、おそるべし。
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by ksksk312 | 2008-02-22 21:55 | 読書美術音楽、etc