両忘

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惰眠

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東北の小さな町にディーゼルカーで向かっている。真夜中だ。その町は山間を抜けた小さな盆地の底にあって、ディーゼルカーは周囲の山並みを(螺旋階段を降りるように)廻りながら降りて行く。急勾配、トンネルと深い谷。なかなかスペクタクルだ。

ディーゼルカーの中で、(実際には誰だかわからないが)信頼できる男の先輩と再会した。途中の駅から乗って、わざわざ出迎えてくださったようだ。心温まる感じ。先輩は自ら運転席に座り、マスコンハンドルとブレーキを操作している。ジェットコースターのような鉄路が続いているが、的確な速度操作で安心感がある。途中、盆地の町の空港駅に着いた。その空港には、とてつもない数の誘導灯で敷地が埋め尽くされている。真夜中に展望台から見ると、まるで宇宙を見下ろすかのような絶景を楽しめるらしい。そうか、ここは東北だし、まるで銀河鉄道みたいだと思う。残念ながら空港駅に降りる時間はなく、町の駅を目指してディーゼルカーは走って行く。

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駅に到着すると、ぼくは大きな荷物を引きずってホームを歩いている。背中にもリュックだ。(着いたばかりなのに)ぼくはこの町から旅立つことになっている。こんなにたくさんの荷物を運べるのだろうか。もっと減らせば良かったのに。でも、自分の持ち物なので捨てる訳にもいかない。

迎えに来てくれたやさしい先輩は、そのままぼくを見送ろうとしている。盆地を出るまで鈍行列車に乗って、乗換駅で特急に乗る。旅は快適なものになるだろう。

(夢をみた)
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by ksksk312 | 2012-04-13 00:51 | on paper '12

書いた。

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別荘地にある企業の研修センター。若くて将来性豊かな正社員たちに混じり、「現実世界の自分」がうろうろしている。トイレに行きたくてしょうがない。研修センターを飛び出して、トイレを探す。薄暗い田んぼの中に、観光ホテルの廃墟があった。廃墟に入ると、隅にトイレらしき部屋がある。ドアを開けると、泥と埃にまみれた便器。接近すると小さな羽虫がいっせいに飛び出した。(村上龍の『ニューヨーク・シティ・マラソン』に出て来る羽虫だ…)。気持ちが悪くて叫びだしそうになる。いつの間にか、大浴場だったらしい部屋にたどり着く。タイルは剥げ落ち、ホコリだらけで足の踏み場もないひどいところだ。トイレはどこだ?ここにもないのか?浴槽だったらしい窪みを見ると、男が倒れている。もちろん生きていない。目を見開いたまま顔を半分を泥に埋め、マネキンのように横たわっている。

外に出ると、廃墟の周りは沼地になっていた。離れ小島に取り残された格好だ。遠くの堤防の上で、男たちが行列を作って歩いている。にぎやかで、大声で話をしている。彼らはどんなグループだ?どこに行くのだろうか。孤独が続いているぼくには関係ない。足下のこなごなに割れた硝子、その周りでたくさんのカエルたちがうごめいている。げろげろげろ。カエルたちの中に一匹だけトノサマガエルがいた。見事な、美しい緑色をしている。見とれる。よくに見ると色がついているのはこのカエルだけである。そのほかはカエルも建物も、空もすべて、モノクロの世界だ。

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坂道を歩いていて、小さな雑誌を広げる。そこに知り合いの女性の連載エッセイが掲載されていた。もう5年ほど前になるのか、たった一度だけ会ったことのある女性だ。連載テーマは「わたしが出会った男」。4回の連載だから4人の男について書かれるのか。誰だろう?彼女から聞いたのは二人の男性だけ。4人の中にぼくは含まれるのか。一度お会いして食事をしただけの人だ。自分のわけはない。ぼくは坂道を走り出す。背中から「……。……。」と、誰かにはやし立てられる。それは自分の声だ。録音して再生するとこんな声をしている。


(夢をみた)
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by ksksk312 | 2012-04-02 01:51 | on paper '12